1964 デッサン
ペンにて"1964"とサイン
サイズ : xcm
ベルメールによるデフォルメされ歪んだ女性像。後年版画集「マルドロールの歌」の1作品として版画化される。
ドローイング 道徳小論「恋の罪」に使用されたイメージの原画です。
1954年 アルシュ紙にインクとグワッシュ ペンにてサイン
額裏にプチ画廊とCNAC(現ポンピドゥー)の在庫管理ラベルが貼り付けられています。
・プチ画廊⇒70年代に多くのベルメール作品を扱ったシュールレアリスム専門の画廊、版元。83年の人形の写真の発行元もここです。
・CNAC(現ポンピドゥー)⇒ベルメール作品を最も多く所蔵する美術館。かの球体関節人形もここの所蔵です。
本作品はプチ画廊⇒ポンピドゥーというたいへん素晴らしい来歴をもった一品です。
サイズ : 43x36cm
デッサン
1953年 グワッシュ
ペンにて"1953"とサイン
サイズ : 6x4cm
本作品は小作品ながらも、ベルメール独特の線描をグワッシュで描いた大変美しい作品です。
デッサン
1954年 鉛筆
赤ペンにて"1954"とサイン
サイズ : 12x9cm
<ベルメール : 人体表現と線>
ベルメールは「人形」やエロスの表現に話題性が集中しがちですが、銅版画初期やデッサンにおいてみることのできる線の表現はたいへん素晴らしいものがあります。
もともと工業デザイナーとして出発した彼は、後にパリでシュルレアリスト達と出会い、人体の部位の配置転換を表現方法のひとつとしたことは当然の結果であったとも言えます。
その表現の手法として、初期には神経質的な線描写による人体表現方法を用いています。
初期版画の「サド ・ 8月26日の逮捕」、「平手打ち」、「少女とこま」、挿画本「使用法」や本作品のようなデッサンの線描は特に素晴らしく、その手法の頂点が1966年の「官能の移転」です。
この微細な線による人体表現への情念が感じられる作品は1968年「道徳小論」までで、それ以降は彫り師が変わり(実際は「道徳小論」もですが)、
残念ながらそれまでの線描への執念が感じられる作品ではなくなりました。
それはベルメールが作家として成功しはじめた時期と重なり、成功と引き換えに霊感の衰えがあったと言えるかも知れません。
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