ジャック・カロ
(Jacques Callot, Nancy 1592-1635)

聖アントワーヌの誘惑 (La Tentation de Saint Antoine)

1634年 制作    エッチング サイズ35.7x46.3cm

ギュスターヴ・フローベール(Gustave Flaubert、1821年12月12日-1880年5月8日)の主要作品「聖アントワーヌの誘惑」 執筆時に、彼の書斎に飾られていたという本作品は、ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch、1450年頃- 1516年8月9日) 的なマニエリスム世界を描いた傑作です。

画面上部には鎖に繋がれて火を吐くサタンが描かれており、その辺り、空中、地上といたるところに、醜悪な異形が溢れています。
これは中世より続くキリスト教的地獄絵図を表していて、その時代性と合わせてバロック的とも言えます。
日本の河鍋暁斎などの描いた地獄絵図との類似も見ることができます。
今から400年近く前の作品ですが、まさに今刷り上ったような見事な出来栄えです。



フェリシアン・ロップス
(Felicien Rops, 1833年7月7日 - 1898年8月23日)


聖アントワーヌの誘惑
(La Tentation de Saint Antoine)

1878年 制作    エリオグラヴュール

サイズ17x13cm















ロップスが生きた時代は、世紀末の退廃的雰囲気が、心の内に潜む悪=悪魔への人々の関心を高めていました。
ロップスは1882年制作の「悪魔的なるもの」(Les Sataniques)5作品をはじめ、「悪魔」を主役に置いた作品を数種制作しています。
ここでは、悪魔がばらまく悪の種=人間の子供、という主題により、悪魔=人間の奥に潜むもの、という観念を際立たせています。




怪物を創るサタン
(Satan creant les monstres)

1867年 制作    エリオグラヴュール、ソフトグランドエッチング

直筆サイン、サイズ20.5x27.8cm。

参考 : ロップス画集(サバト館1980年)16p

















サタンが毒麦の種をまく
(Satan semant l'ivraie)

1882年 制作    エリオグラヴュール

連作「悪魔的なるもの」より

直筆サイン、サイズ27.8x20.5cm


















19世紀末のフランスはアンチ・キリストの台頭した時代でもあり、街では夜な夜なサバトの夜宴が催されていました。
その饗宴の様子を描いた小説がJ・K・ユイスマンス(Joris-Karl Huysmans, 1848年2月5日 - 1907年5月12日)の彼方(La-Bas)です。
この作品は、ジル・ド・レイやグリュネワルトのキリスト磔刑図などを素材に、中世より続くサバト、悪魔崇拝主義を描いています。
特に主人公のデュルタルが、遂に黒ミサに列する際の描写は圧巻です。−彼方 (創元推理文庫) −




磔刑
(Le Calvaire)


1882年 制作    エリオグラヴュール

連作「悪魔的なるもの」より

サイズ 16x14.5cm
















供物
(Le Sacrifice)


1882年 制作    エリオグラヴュール

連作「悪魔的なるもの」より

サイズ  16x14.5cm















人類はいつの時代も不治の病に恐れを抱いていました。ペスト、梅毒、エイズなど、それらは常に身近に有り、人々を突然の絶望に陥れています。
その恐怖は死神として饗宴に忍び込み、傍らには常に悪魔の姿があります。




仮面舞踏会に現れた死神
(Le Mort au bal Masque)


1882年 制作

エリオグラヴュール

サイズ22x12.5cm














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